不貞をした夫が財産分与・慰謝料を支払って、和解で離婚が成立した事案
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不貞をした夫が財産分与・慰謝料を支払って、和解で離婚が成立した事案
依頼者:男性
離婚原因:不貞
争点:慰謝料の減額
1.相談内容
依頼者の武田さん(仮名)は、婚姻期間中に別の女性と交際していましたが、それが発覚し、別居することになりました。
妻は、武田さんに婚姻費用分担の調停を申し立てると共に、武田さんと不貞相手に対し、慰謝料700万円を請求してきました。
武田さんは離婚調停を申し立てましたが、離婚の話し合いはまとまらず、調停不成立となったため、私たちの事務所に相談に来ました。
2.解決内容
私たちは、武田さんの離婚訴訟の代理人と慰謝料請求の代理人の両方を受任しました。
慰謝料請求の訴訟については、慰謝料を支払ったけど、離婚は成立しないという結論になることを防ぐために、慰謝料請求訴訟の裁判官に、慰謝料請求については離婚訴訟の中で解決する方針を裁判所に伝えました。
これにより、慰謝料請求の訴訟は、離婚訴訟の進行に合わせて待ってくれることになりました。
離婚訴訟の中では、武田さんは既に不貞相手と暮らしているという事情があり、不貞関係の存在自体を争うことは出来ないので、不貞関係があることを前提として、不貞関係が開始したのは婚姻関係が破たんした後であること、慰謝料請求をすること自体、既に婚姻関係が破たんしていることの表れであると主張しました。
しかし、裁判官からは、妻が納得する解決金を提示しない限り、離婚は認めないという話もありました。
そこで、婚姻関係の破綻を争いつつも、解決金を支払って、和解離婚することも同時並行で検討しました。
最終的には、解決金200万円、子供の学費として300万円(分割)を支払うことで妻と合意し、離婚が成立しました。
3.ポイント
不貞をした側が離婚を求めた場合、有責配偶者(婚姻関係を破たんさせたことについて責任を負う配偶者のこと)となった場合、裁判所は離婚請求を認めないのが原則です。
そうした場合には、通常よりも多額の慰謝料ないし財産分与を支払って、相手に納得してもらわないと離婚できないことになります。
最終的な目的が離婚することにあるのであれば、相手に対し言い分があっても、あまりに攻撃しすぎてしまうと相手を意固地にさせてしまい、最終的な解決からは遠ざかるので得策ではありません。
相手にも弁護士が付いていれば、感情的な争いに終始する事無く、最終的には金面での解決を図れることもあるので、弁護士に依頼して進めることが肝要と考えます。
本件では、妻から請求された慰謝料の約半額を子供への学費の負担という形で支払うことが出来たので、子供の養育の面からも、支払う側である武田さんの気持ち的にも良い結果となりました。
弁護士 鈴木軌士
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