財産分与・慰謝料・養育費の点で離婚条件の折り合いが付かずに妻から婚姻費用分担申立調停の申立をされたが、調停・訴訟を通じて依頼者である夫側の言い分を主張し、適正な条件で離婚が成立した事例
Contents
依頼者である夫側の言い分が認められ、適正な条件で離婚が成立した事例
依頼者:男性
争点:財産分与・慰謝料・養育費
1 ご相談内容
婚姻費用分担の調停を申し立てられた山下さん(仮名)からご相談を受けました。
山下さんは、奥さんと離婚を求められ、離婚の話し合いをしていましたが、条件面で折り合いが付かないうちに、奥さんは実家のある関西に帰ってしまいました。
それからしばらくすると、奥さんから婚姻費用分担の調停の申立がされましたが、離婚調停の申立はありませんでした。
山下さんとしては、婚姻費用だけ決められてしまうと、いつまで経っても離婚が出来ないのではないかと思い、当事務所に相談にいらっしゃいました。
2 解決方法
私たちは、まず離婚調停の申立を起こしました。これにより、婚姻費用分担の調停と離婚調停が併合されて、同じ調停期日の中で話し合いがされることになりました。
婚姻費用については、離婚するまでの一時的なものであり、調停委員の勧めもあったので、早期に金額について合意しました。しかし、離婚の条件については、夫婦共有財産に関する資料については双方が提出し、財産分与と養育費について提案をしましたが、奥さん側が譲歩の姿勢を示さなかったので、早期に離婚調停を不調にして、離婚訴訟を提起しました。
離婚訴訟の中では、既に調停時に双方が提出した財産分与に関する資料を証拠として提出し、財産分与と養育費に関する提案を当初から行いました。
これに対し、奥さん側は反訴を提起し、婚姻期間における夫婦関係の些細とも思えるようないざこざを根拠として慰謝料請求をしてきたので、一つ一つについて山下さんの言い分を主張し、反論を行いました。
訴訟手続きの中では、裁判官から慰謝料請求は認めず、財産分与も私たちの主張に沿った内容での和解の提案もありましたが、双方合意に至らなかったので、尋問手続を行うことになりました。尋問手続の中では、裁判官から主な争点は財産分与と養育費との話がありましたので、その点に絞った尋問を行いました。
尋問手続後、裁判官から再度和解の提案がありました。その中で養育費については此方の主張が認められ、財産分与・慰謝料については、此方が一定の譲歩をし、解決金という形で支払うこととなり、和解をすることが出来ました。財産分与等については譲歩することとなりましたが、当初の奥さん側の主張からすれば、かなり減額した金額での和解となりました。
また、お子様との面会についても遠隔地ではありますが、離婚条件の中に盛り込むことが出来ました。なお、本件でご依頼を受けてから離婚が成立するまで掛った期間は約1年でした。
3 ポイント
離婚の話し合いの中で、通常の相場とはかけ離れた請求を相手がしてきた場合には、多少時間や費用が掛かってでも弁護士に依頼し、調停・裁判手続きを行えば、少なくとも裁判所が考える適正な金額で離婚できるケースが多いです。
特に、慰謝料請求については、不貞や暴力といった明らかに慰謝料請求の根拠となるようなことがなければ、裁判所は簡単には認めない傾向にあります。
相手からの請求が過大な場合には、安易に妥協せず、調停や訴訟手続きをした方がいいケースもありますので、相手からの離婚条件の提案が妥当なのかどうかよく分からない場合には、一度弁護士に相談することをお勧めします。
弁護士 鈴木軌士
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