大人のアスペルガー症候群

大人のアスペルガー症候群

アスペルガー症候群の夫、妻、親、会社の上司、部下と共に生活していくには、どのように接していけばよいのでしょうか?

アスペルガー症候群は生まれつきの障害のため、本人自身は成長の過程で「自分はどこか他の人とは違っている」という生きづらさを感じています。

しかし、親や教師、医師がアスペルガー症候群のことを知らないと、障害のあることに気づかず、受診にまで至らないことがよくあります。ところが、社会に出ると、一生懸命やっているのに仕事がうまくいかない、相手の説明がうまく理解できない、周囲から「変わっている」といわれてうとまれるなど、「生きづらさ」が現実のものとして、本人にのしかかってきます。

アスペルガー症候群の判断基準

アスペルガー症候群の診断は難しく、自閉症、統合失調症、社会不安障害、気分障害、その他精神疾などの症状と似ているため誤診しやすい。
では判断基準は以下の通りです。

判断基準     299.00(F84.0)
A.複数の状況で社会的コミュニケーションおよび対人的相互反応における持続的な欠陥があり、現時点または病歴によって、以下により明らかになる(以下の例は一例であり、網羅したものではない;本文参照)。

(1)相互の対人的-情緒的関係の欠落で、例えば、対人的に異常な近づき方や通常の会話のやりとりができないことといったものから、興味、情動、または感情を共有することの少なさ、社会的相互反応を開始したり応じたりすることができないことに及ぶ。

(2)対人的相互反応で非言語コミュニケーション行動を用いることの欠陥、例えば、統合のよくない言語的と非言語的コミュニケーションから、視線を合わせることと身振りの異常、または身振りの理解やその使用の欠陥、顔の表情や非言語的コミュニケーションの完全な欠陥に及ぶ。

(3)人間関係を発展させ、維持し、それを理解することの欠陥で、例えば、様々な社会的状況に合った行動に調整することの困難さから、想像上の遊びを他者と一緒にしたり友人を作ることの困難さ、または仲間に対する興味の欠如に及ぶ。

B.行動、興味、または活動の限定された反復的な様式で、現在または病歴によって、以下の少なくとも2つにより明らかになる(以下の例は一例であり、網羅したものではない;本文参照)。

(1)情動的または反復的な身体の運動、物の使用、または会話(例:おもちゃを一列に並べたり物を叩いたりするなどの単調な常同運動、反響言語、独特な言い回し)。

(2)同一性への個室、習慣への頑ななこだわり、または言語的、非言語的な儀式的行動様式(例:小さな変化に対する極度の苦痛、毎日同じ道順をたどったり、同じ食物を食べたりすることへの要求)

(3)強度または対象において異常なほど、きわめて限定され執着する興味(例:一般的ではない対象への強い愛着または没頭、過度に限局したまたは固執した興味)

(4)感覚刺激に対する過敏さまたは鈍感さ、または環境の感覚的側面に対する並外れた興味(例:痛みや体温に無関心のように見える、特定の音または感触に逆の反応をする、対象を過度に嗅いだり触れたりする、光または動きを見ることに熱中する)

「『DMS-5 精神疾患の診断・統計マニュアル』(2014) 日本精神神経学会(日本語版用語監修)p49~51,医学書院 」より抜粋

よく似た症状に脅迫性障害があります。

・一定の順序やスケジュールにとらわれる
・ものを何でもとっておく
・がんこ
・部屋の中のものの位置にこだわる
・何でも余分に買い置きしておかないと気がすまない。
・気になることは徹底的に調べる。
・外出先から帰ると衣類をすべて洗濯機に入れ、自宅用の衣類に着替える。

このような特性ゆえ、アスペルガー症候群と脅迫性障害は医師でも判断が難しいと言われています。

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弁護士 鈴木軌士

弁護士。神奈川県にて25年以上の弁護士経験を持ち、離婚の解決実績を多数持つ。不動産分野にも精通しており、離婚に関する不動産問題にも詳しい。事務所には心理カウンセリングが併設されており、法的なケアと精神面のケアを行うことができる。

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